海外送金ポリシー:アフリカ地域(その1:ナイジェリア、南アフリカ共和国)

海外送金ポリシー:アフリカ地域(その1:ナイジェリア、南アフリカ共和国)

Feb 22 2021

     

アフリカは世界で最も携帯電話の使用率が高い地域の1つであり、オンライン送金数が年々急増しています。


専門家はアフリカ地域を各地域に分類していますが、この記事では、サブサハラアフリカとサブサハラアフリカ以外の国に分類します。 

サブサハラアフリカとは、地理的にサハラ砂漠の南に位置するアフリカ大陸の地域であり、サブサハラ地域ではないアフリカ諸国は

アルジェリア、エジプト、リビア、モロッコ、チュニジアです。

またサブサハラアフリカ地域は、南部アフリカ、西アフリカ、東アフリカ、中央アフリカに分かれています。

     

アフリカ地域の主要な金融機関の1つは、国際開発金融機関であるアフリカ開発銀行グループです。 

アフリカ開発銀行(AFDB)は、アフリカ各国政府と協力して送金の透明性を高め、送金の流入を増加するための政策・規制を展開しています。


 ICAEWとOxford Economicsによるレポート2018によると、送金収入は多くののアフリカ諸国にとって主要な経済的要因となっており、

2018年から2019年の間、ナイジェリアはアフリカ大陸でもっとも多くの送金を受け取っており、2番目はエジプトでした。

またこのレポートでは、アフリカ経済において送金は重要な役割を果たしているにも関わらず、資金送金のコスト削減に重点を置くべきだと指摘しています。


アフリカ地域のマネーロンダリング法

アフリカ地域は外部からの不正行為が非常に多く、マネーロンダリング関連のホットスポットとなっています。

その為アフリカ政府は、世界の行政関係者を招き、情報共有や世界銀行による中東・東アフリカ地域のアンチマネーロンダリングおよびテロ資金供与対策ポリシー(AML/CFT)

についての研修プログラムやマネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)の活動を通して、アフリカの政策展開に取り組んでいます。


詐欺や資本逃避から守るためには、送金額の制限や規制が必要です。約半数の国では国内送金と海外送金の両方で同様の制限を設けていますが、

23か国以上のアフリカ諸国では、$10,000未満の海外送金は中央銀行に報告する必要があります。

これらの国からのユーザー登録が増加していることから、まずナイジェリアと南アフリカの調査を行うことにしました。(送金ポリシー、出金制限と手数料、銀行手数料など)

今後、他国についても調査する予定です。


南アフリカは、銀行や金融サービスが発達している主要な金融センターです。

ナイジェリアと南アフリカはその経済規模の大きさからアフリカ大陸で最も多くの詐欺事件が報告されており、政府は政策の改善に力を入れています。

      

ナイジェリア

ナイジェリアはアフリカで最も人口の多い国であり、アフリカ最大の経済大国でもあります。また世界銀行は、ナイジェリアをエマージング・マーケット(新興国市場)としています。

ナイジェリアのマネーロンダリングを規制する法律は、マネーロンダリング(禁止)法、経済犯罪委員会(EFCC)、

ナイジェリア中央銀行(ナイジェリアの銀行やその他金融機関におけるマネーロンダリング防止とテロ資金供与の防止)規制です。

   

ナイジェリア中央銀行によると:    

「ナイジェリアへ出入国する旅行者が出入国時にN100,000/$10,000(またはその相当額)を超える金額を所持している場合、申告する必要があります。              (これらの金額は、CBNによって変更される場合があります。)          

・出張手当(BTA)および個人旅行手当(PTA)は、それぞれ四半期あたり最大$5,000および$4,000の限度額が適用されます。          

・BDCは承認された取引ごとに、最大$5,000の直接為替現金販売制限を引き続き遵守するものとします。          

・Forms Travel Import(TM)およびTravel Export(TE)に記載されている、$10,000以上の各外貨輸出入の申告書は統計目的でのみ必要となります。          

・ 国際送金業者(IMTO)の1人あたりの送金の許容限度額は、四半期ごとに$1,000(またはその相当額)としていますが、これは随時見直されます。

 オペレーターによる適用料金は、CBNが定める送金料金に準拠するものとします。     


ナイジェリア発着の銀行振込手数料     

 ナイジェリア発着の銀行振込手数料は、約$25〜40です。


出金手数料と制限      

インターネット上のニュースメディアによると、ナイジェリア中央銀行はN500,000 /$1,400以上の現金出金手数料を3%に設定しており

法人の場合は、基準をN3,000,000/$8,200以上の5%としています。

また個人の場合、手数料無料となる1日の出金限度額は、銀行窓口やATM機など出金方法に関わらず N500,000/$1,400と設定されています。


クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード      

ナイジェリアは現金主義社会です。 

2015年に国が大規模な為替危機に直面したため、ナイジェリアの人々が国外でデビットカードを使用することが禁止されました。

またナイラ建てカードの国際使用制限は各参加銀行によって定められていますが、各個人が利用できる外貨の年間合計額$150,000を超えることは出来ません。

発行されたプリペイドカードは、CBNが定める最低限のKYC要件の範囲内で運用され、出金限度額や利用限度額は発行元銀行によって定められます。


仮想通貨    

ナイジェリア政府は仮想通貨の禁止を試みましたが、現在ナイジェリア国民は現地通貨を使用してBinanceのビットコインを購入することが可能です。

CoinTelgraphによると、ナイジェリアではビットコインは合法としていますが、ナイジェリア証券取引委員会(SEC)は国民に対して

暗号通貨への投資はリスクが高いものであると警告しています。


南アフリカ共和国

南アフリカはFATFのリストには含まれていませんが、同地域の国家より比較的手続きが単純であり税務当局とのやり取りもスムーズに行うことが出来ます。

しかし法律が十分に施行されない為、国は人々の汚職に頭を抱えています。

 

南アフリカ共和国の中央銀行である、南アフリカ準備銀行によると:

・18歳以上の有効な緑色のバーコード付き南アフリカID(またはスマートIDカード)を所持している南アフリカ居住者は、暦年ごとにR1,000,000/ $70,000以内の裁量手当を

利用することができます。 この制度は正当な目的(海外への投資、金と宝飾品を除く現金の代わりにギフト小包を送ることを含む)に対しては書類を提出する必要はありませんが、CMA外への旅行目的を除き、所定の文章を作成する必要があります。


・裁量手当に加えて、居住者は非居住者への贈答品として、R30,000/$2,000を上限にクルーガーランド金貨を輸出することができます。   

個人は以下の目的のために、許可された外貨口座および外国の銀行口座を保有することが許可されています。

(a)旅行(b)外貨投資(c)合法的な外国人の収入(d)外国人の相続    


 南アフリカ発着の銀行振込手数料   

南アフリカの銀行振込手数料は約$30です。

米ドルを南アフリカドルに換算場合は、為替レートに約2%の手数料が発生します。  


出金手数料 

TranswireとFinderのウェブサイトの記事によると、南アフリカの現地銀行はATM手数料が発生しませんが

$300の取引には、3%の通貨換算手数料が発生し、国際ATM機での出金手数料は$5となっています。  

 南アフリカのATMから出金することができる最大金額は、1回あたりR,3000 / $200です。これ以上の出金を希望する場合は、銀行窓口にて身分証明書を提示する必要があります。


クレジットカードとデビットカード  

現地で発行されたクレジットカードやデビットカードを所持している個人は、それを使用をして外貨で決済を行うことができます。

支払いは1回の取引ごとに、R50,000/ $3,500に制限されています。    


 南アフリカへの送金      

アフリカには海外で働いて家族に送金する移民が多い為、送金収入は国にとって主要な経済的要因となっています。

しかし送金1件あたりのコストについて、問題視されています。   

南アフリカと大陸全体の支立役者は、Western UnionとMoneyGramです。     


多くのアフリカの銀行は、Western UnionとMoneyGramが国際送金サービスを提供している唯一の企業であると誤って認識しています。

その結果、銀行は保証されたボリュームと引き換えに独占契約に署名する準備ができています。 


仮想通貨 

 南アフリカ準備銀行 では、暗号資産(CA)(仮想通貨(VC))を規制していませんが、発展に合わせて監視の強化に努めています。

南アフリカ共和国では、暗号資産(CA)は法定通貨として認められていない為、商人や販売者は暗号資産を支払い手順として拒否することができます。


まとめ      

アフリカの送金市場は労働者の移動が多く、政府がキャッシュレス社会の実現に力を入れているため、新興市場となっています。

各地域には、マネーロンダリング、不正行為を制御するための独自のルールがありますが、これらは個別に分析する必要があります。     

ナイジェリアでは、個人の国際送金1件あたりの限度額は、$1,000(または四半期あたりの相当額)ですが、南アフリカでは暦年あたり$70,000が利用可能です。


また南アフリカでは、クレジットカードやデビットカードによる決済は、1回の取引につきR50,000/$3,500に制限されています。

ナイジェリアでは、国際的な利用限度額は各参加銀行によって定義されています。

ただしこれらの制限は、各個人が利用できる外貨の年間合計額$150,000を超えないものとします。   


銀行振込手数料は両国で$25〜40です。


南アフリカでは暗号通貨は合法ではありませんが、ナイジェリアは明確ではありません。     

主なオンライン送金サービス業者は、Western UnionとMoneyGramです。

 またグローバルeWalletsであるSTICPAYは、これらの地域にサービスやSTICカードを提供しています。   

 

参考: 

CBN - Guidelines on International Money Transfer Services in Nigeria

Finder - South Africa travel money guide | finder.com

TransferWise - ATMs In South Africa: Credit Cards And Fees

All Africa - Nigeria: How New CBN Charges On Bank Withdrawals, Deposits Can Affect You

ResBank - Crypto assets

ResBank - Currency and Exchanges guidelines for individuals 2020-08-13

Money Transfer - Get Money out of SA , Moving Rands Abroad – Incompass Forex

Know Your Country - South Africa AML Report

Mondaq - Crypto Currency In Nigeria: Regulatory Framework & Related Issues - Technology - Nigeria

CBN - GUIDELINES ON STORED VALUE/PREPAID CARD ISSUANCE AND OPERATIONS

CBN - The Cash-less Nigeria Project

PunchNG - CBN slashes banks’ ATM withdrawal fee to N35

CBN - Monetary credit foreign trade exchange 2018 AND 2019.cdr

CBN - Monetary,Credit,Foreign Trade and Exchange policy Guidelines

Getting The Deal Through - Merger Control - Work areas - Getting The Deal Through

CBN - AML/CFT

Embassy of South Africa - Visa application charge payment option for international transactions over R50,000 for residents of South Africa